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Essence for your beautiful life
2017/05/30

photo : Tomoko Kitakami

梅雨の季節は、
香り、色、デザインで
“涼”を取り入れて

清々しい新緑の季節は、もう終わり。もうすぐ、曇りや雨の日が続く梅雨がやって来ます。この時期は湿度が高く、気持ちが滅入りそうになる人もいるのでは?

湿気が籠もると、部屋のなかに嫌な臭いが漂うことがありますし……。
でも、そんなときは、鎮静効果の高いお香を焚くのはいかがでしょう。香立てや香台などの小物を涼しげな色味で揃えれば、視覚でも“涼”を取り入れることができます。

今回、香台の下に敷いた手ぬぐいの絵柄は、「源氏香之図」。この香之図は、香道の世界で、5種類の香を順番に焚き、その組み合わせを当てる組香「源氏香」の席で用いられる図のことです。それぞれの図には、「若紫」「夕霧」「藤裏葉」など、『源氏物語』の各帖の名前が付けられていて、何とも雅やか。

季節感を大切に、洗練されたひとときを

歌人で作家の尾崎左永子は、校注を担当した書籍『香道蘭之園』(淡交社)の解題のなかで、『源氏物語』に貫かれている美意識について、以下のように記しています。

「その美意識とは、日本人の心に現代も継承されている四季の季節感であり、四季のうつろいであり、音楽、色彩、遊びをふくむくらしの洗練であり、時のはかなさを知る心であり……(以下略)」

日本人の心に継承されている、四季の季節感。この感覚は大切にしたいもの。この気持ちがあれば、梅雨の時期を不快と感じず、洗練されたひとときとして仕上げられるような気がします。まずは、心が涼やかになる香り、色、デザインに触れて、リラックス。気軽に始められることからゆっくりと、美意識を磨いていきたいですね。

 

撮影協力:手ぬぐい『あひろ屋

text : Aki Tanaka(キクカクハナス)