ストーリー

One Life, One Thought
Vol. 88

黒柳徹子

そうです、私は、いい子です!

2018/06/14

同じ司会者が務める最多放送回数を誇る番組としてギネス世界記録に認定された「徹子の部屋」の司会を務める黒柳徹子は、司会だけではなく、ユニセフの親善大使や『窓際のトットちゃん』という大ベストセラーの著者としてなど多方面で活躍しています。

そんな彼女の過去を覗いてみると、小学校1年生の時には「落ち着きがない」という理由で退学させられるような問題児だったそうです。

しかし彼女の母は、徹子の問題行動は彼女の「個性」と捉え、個人個人が好きな科目を選んで授業を始めることができたり、午後にはみんなで散歩をするなどして、個性や自由を尊重する教育を行うトモエ学園に転入させました。

徹子は、小学校を退学になったという事実を20歳になって初めて聞かされたといいますが、母の育て方のおかげで現在の自分があると以下のように述べています。(1)

「母親が自由に育ててくれたことのみならず、自分の人格を認めてくれていたのでのびのびと生きてこれた」

母が徹子をのびのびと育ててくれた

↑母が徹子をのびのびと育ててくれた(リンク

トモエ学園に転入しても徹子の問題児っぷりは変わらなかったそうで、「今日は1日、牛肉!」と一日中鉄棒にぶら下がっていたというエピソードなどもあったといい、決して俗に言う「いい子」ではありませんでした。

しかし徹子はそうした問題行動の反面、身体の不自由な子に偏見なく接したり、いじめっ子に立ち向かうなど、周りへの優しさで溢れてたといいます。(2)

そんな徹子を知っている校長先生は「君は、本当は、いい子なんだよ!」と声をかけてくれたそうで、その言葉が彼女のこれまでの人生をずっと支え続けたと徹子は語りました。

そうです、私は、いい子です!

↑そうです、私は、いい子です!(リンク

徹子は、苦戦しながらもなんとかNHKの専属女優としての座を勝ち取りましたが、女優として活躍し始めてからもその強い個性によって悩ましい日々が続いたといいます。

その時のNHK放送劇団の先生であり、徹子の担任を勤めていた大岡先生は、彼女が演劇について何も知らないことが逆に良いのだと以下のように声をかけてくれたそうです。(3)

「あなたの試験のお点、とても悪かったんですの。だけど、試験官の先生方がね、〝これだけ、なんにも演劇について知らないと、逆に白紙みたいなもので、テレビジョンという、全く新らしい分野の仕事を、素直に、雑念なく吸収するかも知れない。”って。つまり、あなたは、無色透明!そこが、よかったんですよ」

無色透明だからこそなんでも吸収できる

↑無色透明だからこそなんでも吸収できる(リンク

徹子の強すぎる個性を認めてくれない人々には「その個性、引っ込めて!」と言われ途方にくれる日々もありました。

徹子も次第に、「個性があったらいけないんだ」と思うようになり、NHKの声優オーディションに合格した徹子は、「直すところがあれば直します!」と伝えたところ、劇作家の飯沢匡(ただす)先生から「あなたの個性が必要なんです。そのままでいてください」と言われたそうです。(4)

その後、個性を出し、自分らしく仕事を進めていった徹子の仕事は順調に増えていき、20代の後半には、テレビやラジオのレギュラーが週に10本、平均睡眠時間3時間という日が続いてしまうほど多忙な生活を送りました。

あなたの個性が必要なんです

↑あなたの個性が必要なんです(リンク

徹子のように子供時代に自由に育てることの良さは最近になって証明されてきており、子供達が年齢で区別されてみんなで同じことをするのではなく、自分で何を学ぶかを選ぶことができるような教育が広まってきました。

その一つに「モンテッソーリ教育」があり、これは「保護者や教師といった大人は、子供の自由を保証し、自発的な活動を助ける役割を果たすべきだ」との考えをコンセプトに持っています。

将棋界で前人未到の最多連勝記録を達成した藤井聡太さんの活躍によって有名になった「モンテッソーリ教育」ですが、マイクロソフトのビル・ゲイツやアマゾンのジェフ・ベゾスといった名だたる成功者たちもも同様にモンテッソーリ教育によって自由を尊重して育てられてきました。

子供を自由に育てることの大切さがわかってきている

↑子供を自由に育てることの大切さがわかってきている(リンク

トモエ学園の教育を通して、たとえ自分が個性的で周りから変だと思われていたとしてもそれを大切にすることを学び、「私はいい子!」と素直に信じる純粋さを持ち続けることができた徹子だからこそ、他に代わりのいない個性ある女優や司会者として変わらずに活躍してこれたのでしょう。

個性は周りと違う部分であるので捉え方次第では強みにも弱みにもなりえます。

徹子のように自分の個性を認めてくれる人たちの中に身を置くことで、もっと生きやすくしあわせな人生を送ることができるのではないでしょうか。

参考資料
1. 黒柳徹子「窓際のトットちゃん」(講談社青い鳥文庫、1991年)kindle
2. 黒柳徹子「窓際のトットちゃん」(講談社青い鳥文庫、1991年)kindle
3. 黒柳徹子「トットチャンネル」(新潮文庫、2016年)kindle
4. 黒柳徹子「本物には愛が。」(PHP研究所、2014年)kindle