ストーリー

One Life, One Thought
Vol. 64

ミシェル・オバマ

希望とは、『なんとかなる』という甘いものではなく、努力し続ければなりたい姿になれるという可能性のこと。

2017/09/28

前アメリカ合衆国大統領バラク・オバマは、建国以来初めてのアフリカ系アメリカ人の大統領となったことで、まさに「アメリカンドリーム」の体現者とされていますが、その妻であるミシェルはバラク以上にアメリカンドリームを象徴していると言っても過言ではありません。

ミシェルはシカゴの貧しい黒人居住区で育ったものの、勉学に対して不断の努力を重ねた末、プリンストン大学に入学し、卒業後は ハーバードロースクールで法律を学び、弁護士になるという華々しいキャリアを歩みます。

そして、弁護士として勤めていた法律事務所にインターンとしてやってきたバラクがミシェルをデートに誘ったことをきっかけに二人の交際がスタートし、出会って3年後に結婚、彼女はその後、自らも弁護士としてのキャリアを積みながら、妻としてバラクの人権派弁護士としての活動を支えました。

そして、彼女はバラクがイリノイ州議会上院議員、連邦議会上院議員と政治家として実績を積む過程を共に歩み、ついには2008年の大統領選で選出されたバラクと、黒人初のアメリカ合衆国大統領、ファーストレディーとしてホワイトハウス入りを果たしたのでした。

低所得家庭からハーバード、そしてファーストレディーへ

↑低所得家庭からハーバード、そしてファーストレディーへ(リンク

ミシェルは世界で一番優秀な大学に行くとも、ましてやファーストレディーになるとも、決して予想はしていなかったといい次のように述べています

「私の達成したことの全ては、絶対に手の届くものではないと考えていたところのものでした。だって私は女の子だし、黒人だし。」

実際には弛まぬ努力の末にそれらを手にした彼女ですが、その過程においては「十分に努力し、自分を信じるなら、自分が成りうる最高の姿になれる」という大きな希望が彼女の胸の中にはあったのだそうで、その「希望の力」が彼女を支え続けたのだといいます

ミシェルは不断の努力と希望の力で夢を叶え続けた

↑ミシェルは不断の努力と希望の力で夢を叶え続けた(リンク

ミシェルのいう「希望」とは、「なんとかなる」といった見通しの甘い夢物語ではありません。それは、努力し続ければ自分のなりたい姿になれるという可能性のことであり、ただ何もせず夢だけを見て、いつか状況はよくなると願っているだけではいけないのだといいます

また、小さい頃から「大きくなったら何になりたいの?」と聞かれるのがとても嫌いだったといい、それは何かになったらその時点で終わってしまうものだからであると語っています

そしてミシェルは今、私たちが受け入れてしまっている「理想の世界」と「現実の世界」の間にあるギャップを埋めることを実現するために、男女の格差がなくなり、世界中の子供達が教育を受けることができる世界を目指して活動しています

大きくなったら何になりたいのという質問が大嫌い

↑大きくなったら何になりたいのという質問が大嫌い(リンク

ミシェルは「希望の力」で数々のことを成し遂げてきたと述べましたが、ドイツ人大作家のゲーテも「希望に満ち溢れて生きていた」と言われる人物です。

常に物事から希望を見出し、「ファウスト」や「若きウェルテルの悩み」といった数々の名作を世に送り出してきたゲーテは、「何事につけても、希望する方が絶望するよりいい。可能なことの限界を図ることは誰にもできないのだから」という言葉を残しました。(1)

可能なことの限界は誰にも測れない

↑可能なことの限界は誰にも測れない(リンク

一方で私たちは、「女性だから」「家庭があるから」といった自分自身や社会がもうけた制限によって多くの可能性を狭めて、希望を持つことから遠ざかっているようです。

イギリスのマンチェスタービジネススクールの教授であるマリリン・デヴィッドソンは、女性は男性に比べて約20パーセントも自分自身の実力を低く見積もっていることを実験から導き出しました。(2)

そのため女性はたとえ男性と同じだけの実力があったとしても、自身の能力に自信を持つことができず、物事に対して積極的に挑戦することを避ける傾向にあり、また、活躍している女性を見れば「彼女たちは特別だから」と言って自分ごととしては捉えません。

女性は自分の価値を20パーセント低く見積もる

↑女性は自分の価値を20パーセント低く見積もる(リンク

ミシェルは周囲から「彼女は特別だから様々なことが達成できた」と見なされることが多いそうですが、決して自分は特別ではなかったとして、次のように述べました。(3)

「ただそこに座って、誰かがあなたの元に助けに来てくれるなんて期待しても無駄です。世界はそのようには周っていないんですから。あなたがどんな家庭に生まれたとか、どのくらいお金があるとか、肌の色が何色かなんて全く関係なくて、ただ全力で何かに取り組めば、なんだって可能になるのです。全てはあなた次第なんです。」

特別だったのは、ものすごい量の努力だけ

↑特別だったのは、ものすごい量の努力だけ(リンク

ミシェルは努力し続けた結果、数々の夢を叶え、フォーブスの選ぶ「世界でもっとも偉大な女性ランキング」に常に登場する影響力の大きな女性になりました。

ただそこに座って「いつか状況はよくなる」と願っている受動的な希望ではなく、努力すれば成りたい姿に近づけるといった主体的な希望を持って生きていけば、自分自身の手で明るい未来を創っていけるのではないでしょうか。

参考書籍
1. フランツ•カフカ、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』、飛鳥新社(2014)kindle版 199
2. クレア・シップマン、キャティー・ケイ『なぜ女は男のように自身を持てないのか』、CCCメディアハウス(2015)kindle版 487
3. Peter Slevin “Michelle Obama: A Life” , Vintage (2016) kindle版 133